怒る・叱る・褒める...ではない!
インストラクターやトレーナー、OBやOG…といった現役メンバーと接する人は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。「怒るんじゃなくて叱るんだよ」「褒めて伸ばすんだよ」などといった言葉。
しかし、現場はそんな杓子定規な世界ではありません。怒らずに叱っても、褒めても上手く行かない事はよくあります。
実際のところ、どんな接し方が合っているのでしょうか?
怒ると叱るの違い
よく「怒るのではなく叱るんだよ」「怒るというのは自分のために…叱るというのは相手のために…」などといった言葉がセミナーや前に立つ人への指導などでもよく耳にします。
確かに怒るとは一般的に自分の感情が高ぶって出る表現で、叱るとは相手の欠点を指摘する表現で区別されます。
これ自体は間違いとは言いませんが、これは単に単語の意味であって現場での行動に紐付く意味とは異なります。
現場で怒るタイミングは、緊急性の高い事態、速やかに静止させる非常事態の時に怒らざるを得ないが生じます。
叱るというは、相手に現状や真偽・成否・正誤といった事を伝える手段になり、「怒る」と「叱る」とでは、そもそもの性質が異なります。
怒る・叱る・褒めるは同じ土俵
「怒ったり叱ったりするのは悪で褒めるのが正しい。」「とにかく褒める。」そんな教育方針もあるようです。
確かに褒められると嬉しくなることが多い印象がありますが、これも必ずしも良い方向へ行くとは限らないのが現状です。どう考えてもあり得ない事態の時や正さなければいけない時は、褒めてる場合ではありません。
逆に、時と場合や人によっては怒ったり叱ったりすることで伸びることも現実世界ではあります。
つまり、怒るも叱るも褒めるも土俵は同じと言えてしまいます。では、何故そんなことが起きるのでしょう。
根底にあるもの
怒ったり叱って伸びる時と褒めても伸びない人の共通点は、どこにあるのでしょう。それは、根底に承認や信頼、理解といった相互関係があるかないかで変わってくるのではないでしょうか。
普段しっかり見てくれている人でその人の真意や想いが伝わってくる人(承認している人)から怒られたり叱られても、一時的に気分は落ちても理解しようとするのではないでしょうか。
逆に普段全く見てくれなかったり意図がわからない人(承認していない人)に褒められても表面的には感謝さえしても、本当に理解していると受け止めるでしょうか。
現場で怒る意図
現場で怒るということは、相手にショックを与えることで緊急性、危険性、重要性を理解してもらう意図があります。単語の意味としては、自分の感情の高ぶりを指していましたが、現場では意味が変わり、単純に自分の感情が高まったから怒るのではなくなります。
現場で叱る意図
現場で叱るということは、問題や課題を明確にして方向性を整える意図があります。叱り方は様々で、叱るからといって全て強い口調で押し付ける訳ではありません。アドバイスや相談といった印象のように穏やかな叱り方もあります。
現場で褒める意図
現場で褒めるということは、課題がクリアしたこと、過小評価を正すことを目的に双方認識する意図があります。なんでもかんでも褒めるというのは逆効果です。
何のため?
何のために怒ったり叱ったり褒めるのでしょうか?
それは、全て人としての教育に繋がります。怒ったり叱るのがいけないとか褒めるのが良いといった表面的な事ではなく、これらは手段として必要な時があり、その根底には承認や信頼・理解がなければ成り立ちません。それが受け止められる手段であれば、どの手段を取っても結果が伴ってくると思います。
何のために怒るのか叱るのか褒めるのか…その先に何を期待しているのか…インストラクターやトレーナー、OBやOGといった立場の人たちは、このような事を理解した上で前に立たなければなりません。